ドッグフードの栄養添加物(タウリン)
タウリンはイカ、タコ、カキなどの軟体動物や魚介類では血合い肉などに多く含まれているアミノ酸で、猫は食事から摂らなければならない必須アミノ酸ですが、犬は体内でタウリンを合成できるため非必須アミノ酸となっています。タウリンは脳、心臓、骨格筋に多く存在しているアミノ酸で、システインと呼ばれるアミノ酸から合成されます。
その他、タウリンの特徴は以下の通りです。
ドッグフードとタウリンについて
猫は体内でタウリンを合成できないため食べものから摂る必要があり、タウリンは主に猫における欠乏症が心配されている成分です。猫のタウリン欠乏症がなぜ注目されるようになったかというと、従来からキャットフードではタウリンの多い魚介類(主に血合い肉)を使用したフードが多かったのに対し、近年になって肉を使用するフードが増えたため、タウリン欠乏症に陥る猫が増えてきたのが理由と言われています。
ドッグフードも同様、魚介類を使用していないフードではタウリンの量が少ない傾向にあると考えられます。
タウリンは水溶性の物質で魚なら血合い肉に多く、魚を煮て調理する場合は煮汁の中に溶けだしやすくなるため、水分とともに失われやすい栄養素だと言われています。
タウリンの欠乏症・過剰症について
犬はタウリンを体内で合成することができますが、遺伝性疾患を持つ犬ではタウリンの欠乏症に陥ることがあり、タウリンが欠乏することによって拡張型心筋症と呼ばれる症状が起こることがあります。タウリン欠乏症はラムと米中心の食事をしている大型種の犬にあらわれやすいと言われていますが、犬種によっても差があり、原因が遺伝なのか環境や食事にあるのか、また栄養がどのような役割を担っているのかなど、原因についてはっきりとはわかっていないようです。
健康な犬であればシステインというアミノ酸からタウリンが合成できるため、栄養添加物としてタウリンを配合する必要はありません。
ただし上記のように稀に欠乏症を示す犬がいることから、タウリンが別途添加されていることがあります。
ちなみにタウリンを過剰に与えた場合の影響については現状報告がなく、上限量については定められていないようです。
ドッグフードに含まれるタウリンの量が心配な場合は、タウリンそのものを添加しているフードがお勧めですが、魚を丸ごと原材料に使用しているフードや魚の血合い肉を使用しているフードであれば食材からもタウリンが摂取できる可能性があります。
タウリン欠乏症の心配がある犬は、栄養に詳しい獣医師などの専門家に相談し、適切なフードを選ぶ必要がありますが、もしも日々の健康維持のためにタウリンを与えたいと考えている場合は、上記のような原材料を使用しているフードを選ぶと良いでしょう。
また魚を煮汁ごと閉じ込めて調理してあるウェットフードや、魚を使った犬用缶詰などを食事のトッピングに利用するのもお勧めです。