ドッグフードの原材料表示(肉副産物、ミート副産物)
肉副産物やミート副産物は、肉を原材料に使用した人間用の加工食品(ソーセージやハム、ベーコン、食用油脂など)を製造する上で、食品としては使用しない部分、もしくはと畜場・食鳥処理場で処理した人間の食用には向かない部分をペットフード用に加工してある原材料のことです。副産物に使われている部位は動物の種類によって異なり、具体的には以下のような部位が使用されています。
牛の副産物......脂肪(獣脂かす)のみ
豚の副産物......骨、脂肪、血液、内臓、くず肉など
鶏の副産物......骨、脂肪、血液、内臓、くず肉、羽毛など
ちなみに上記副産物を飼料やペットフード用の原材料として加工し、粉砕してあるものの中で骨が含まれていないものは肉粉、骨も含まれているものは肉骨粉として表示されている場合があります。
肉副産物やミート副産物についての注意点は、以下の通りです。
原材料の産地が異なる可能性が高い
肉副産物・ミート副産物を製造する上で必要となる原材料は、豚や鶏の場合、農場やと畜場・食鳥処理場、もしくは肉加工業者や油脂製造業者(牛は主に油脂製造業者)などの食品製造業者から収集されています。そのため同じ動物を原材料として使用する場合、産地の異なるものを使用している可能性が高く、副産物が原因で何か問題が起こった場合に、どこに問題があったのかなど原因を把握しにくい(もしくは時間がかかる)という欠点があります。
最近では人間用の食肉加工食品を製造する業者や油脂製造業者自らが、製造途中で出る副産物をレンダリングしてペットフード用の原材料、あるいはペットフードそのものを製造しているケースがあります。
さらにそのような製造業者の中には豚や鶏を自社農場で育て、自社のと畜場・食鳥処理場で解体して出た副産物のみを使用しているケースもあります。
ペットフードのパッケージだけを見て、副産物の安全性を確かめるのは容易なことではありませんが、中には使用している副産物の産地や仕入れ先について情報を公開してくれているフード業者や産地が特定できる副産物を製造している業者もいます。
ペットフードに使用されている肉副産物について、もし不安を覚えるようであれば直接フードメーカーに問い合わせてみたり、公開されている情報を確認したりして、なるべく情報量が多い、安心材料が多いところからフードを購入するようにしましょう。
輸入される肉副産物(フードの原材料に使用するもの)について
動物を使用したペットフード用原材料を海外から輸入する場合は、海外で発生する伝染病が国内に持ち込まれることを防がなくてなりません。そのためペットフード原材料用の肉副産物を海外から輸入する場合は、日本と同じレベルの伝染病リスク管理を相手国にも行ってもらい、より安全なものを入手できるように事前に相手国と輸入に当たっての各種条件を取り決めておくことが必要になります。
肉副産物を輸入する場合、日本と相手国との間で輸入にあたって必要な各種条件(家畜衛生条件)をまずは締結し、その上で規定の施設で製造したもの、規定の手続きを踏んだものしか輸入ができないようになっています。
また条件に一致した適正なものが輸入されているかどうかは、輸入企業が選任した流通管理者と農林水産消費安全技術センター(FAMIC(ファミック))によって確認されています。
購入しようとしているペットフードに、輸入された肉副産物が使用されており、どのような条件で製造され、リスク管理が行われているかを知りたい場合は上記の家畜衛生条件によって大まかな内容がわかることがあるため確認してみるようにしましょう。
ドッグフードに使用される肉副産物・ミート副産物については様々な動物の部位が使用されていたり、また何か問題が起こった場合に原因を追及することが難しいと予想されたりすることから、消費者が不安を抱きやすい原材料のひとつと言えます。
ただし動物の骨や内臓から得られる栄養は犬にとっても有用なことがあり、肉粉や肉骨粉を使用したドッグフードをどう捉えればいいのか、判断に苦しむ場合もあります。
肉副産物といっても産地が特定されていたり、限られた特定の部位しか使用していなかったりするケースもあるため、まずは情報を集め、原材料レベルでより安心できるフードを選ぶようにしてみましょう。