ドッグフードの素材(豚(ポーク))
鶏を使用したドッグフードほどではありませんが、豚もドッグフードによく用いられている素材です。豚をよく食べている沖縄の人に「鳴き声以外捨てるところがない」と言われる位、豚は捨てるところがない動物で、ドッグフードも肉はもちろん内臓などの副生物や、豚を加工した食品(ソーセージやハムなど)を製造する際に出る副産物もよく利用されています。
人間の食用としても豚は骨から内臓まで無駄なく食品に利用されています。
素材としての豚には以下のような特徴があります。
豚肉に含まれる脂肪酸について
豚肉に含まれている脂肪酸はオレイン酸>パルミチン酸>ステアリン酸>リノール酸の順で多く、オレイン酸は脂肪酸全体の約4~5割程度、パルミチン酸は約2~3割程度、ステアリン酸は約1~1.5割程度含まれています。必須脂肪酸であるリノール酸は鶏ほど多くないものの牛よりは多く、牛の倍以上は含まれています。
食肉に含まれる脂質の含有量は部位によってばらつきがあり、ばら肉の場合は食肉中約3~4割程度脂質が含まれていますが、豚もも肉やヒレ肉の場合は鶏もも肉よりも脂質が少なく1割以下となっています。
かた肉やロースの場合は約1~2割程度脂質が含まれています。
タンパク質について
豚は牛や鶏と同様にタンパク質含有量が多く100g中、約20g前後のタンパク質が含まれています。必須アミノ酸の含有比率を評価する「アミノ酸スコア」では、豚肉は鶏肉や牛肉と同様、最大値の100がつけられています。
ビタミンとミネラルについて
豚はビタミンB群が豊富な食肉で、中でもビタミンB1は群を抜いて多く、鶏や牛の7~10倍程度含まれています。ビタミンB1は疲労回復に効果があるビタミンと言われており、糖質の代謝を高めてエネルギーに変えやすくしてくれるため、豚を使用したフードは活動量が多くて活発な犬にお勧めです。
豚肉が原材料のドッグフードについて
豚はスーパーにもよく並んでおり、人間にとってとても身近な食肉ですが、過去のドッグフードではメインの素材として豚肉はあまり使われることがなく、どちらかというと鶏や牛など他のタンパク質源と一緒に豚の副産物「ポークミール」が使われることが多い素材でした。そのため豚はプレミアムフードというより、比較的安価なフードでよく用いられている素材でした。
ただしドッグフードで鶏肉主体のフードが大半を占めたことから、鶏肉にアレルギーを持つ犬が増え、そこから異なるタンパク源を使用した良質なフードを求める人が増え、ラム肉主体のプレミアムフードが巷に出回るようになりました。
そして、それによって今度はラム肉にアレルギーを持つ犬が増えてきたという現状があります。
そのため近年、豚肉をメインに使用したプレミアムフードが格段に増えてきており、今ではポークミールだけでなく、豚肉をメインに使用したバラエティ豊富で良質な商品が出回っています。
ちなみに豚肉の香りは、豚の飼料に何が使われているかによって変わるそうです。
近年のプレミアムフードに用いられている豚肉は良質なものも多いため、より食いつきのいい、香りがいいフードを選ぶなら、素材となる豚が「飼料に何を与えられていたか」にもこだわって探してみるといいかもしれません。