ライフステージ別ドッグフード(妊娠・授乳中)の特徴
妊娠・授乳中の犬用フードは、交配後の約2ヵ月から分娩後の約2ヵ月の間に与えるフードで、妊娠期の食の細い犬や授乳期のたくさん栄養が必要な時期に、適切な栄養バランスとカロリーが補えるよう設計されています。妊娠・授乳中の犬に与えるフードは以下のような特徴があります
栄養密度が高く、高脂肪・高カロリー
妊娠期の犬は胃が圧迫されて食が細くなることがあり、また妊娠末期には低血糖症状が起こりやすくなることがあります。さらに授乳期は子犬にミルクを与えるため、通常の2~4倍のカロリーが必要となることがあります。
栄養密度が高く、高脂肪・高カロリーなフードが適しているので、妊娠・授乳期用のフードは子犬用のフードと兼用として販売されていることがよくあります。
ただし厳密には子犬に必要な栄養・カロリーと、母犬に必要な栄養・カロリーは異なります。
子犬と兼用のフードではカロリーや糖分が足りない時や、食が細くなりドライフードを食べさせるのが難しい時は、別途栄養補助食や栄養補給用の食材などが必要になる場合もあります。
特に妊娠後期は胎児の発育のために、ブドウ糖の摂取を獣医師から勧められることがあります。
どのようなものを用意しておくと良いかは用意するフードの種類や、犬それぞれの体調によっても異なるため、健康チェックを受けると共に、普段与える食事や用意しておくべき栄養補助食・補給食について、あらかじめ獣医師に相談しておきましょう。
病気ではないが、獣医師への食事相談が必要
妊娠・出産は病気ではありませんが、妊娠・授乳中はなるべく獣医師に健康チェックをしてもらいながら、同時に食事相談を行ってフードを選ぶようにするのがお勧めです。なぜなら犬を太らせすぎると妊娠後期に難産を起こしやすくなったり、また太ることでお腹の中にいる子犬を圧迫してしまい、子犬が低酸素症や低血糖症に陥ったりすることがあるからです。
ただし、だからといって低栄養、低カロリーな食事を与えると、お腹の中にいる子犬に必要な栄養を届けられなくなることがあります。
獣医師と相談の上、適切なフードを選びましょう。
また出産後は通常の何倍ものカロリーを母犬は必要としますが、いつも食べられるようフードを用意していない場合、必要なカロリーを母犬が得られず乳の出が悪くなったり、体調不良を起こしてしまったりする可能性もあります。
さらに炭水化物量が少ないフードの場合、母乳中に含まれる乳糖の量が少なくなることがあり、またミネラルバランスや量が適切でないフードでは、ミネラル不足によってお腹の中にいる子犬が発育不全を起こすこともあります。
妊娠・授乳期用のフードでは上記のような懸念に対応しているフードですが、子犬や成犬も対象にしたものが多く、母犬のためだけに作られているものではありません。
そのため状態が変わりやすい母犬には、適宜必要なフード量を見直したり、追加で与える栄養などを見直したりする必要があるため、なるべく母犬・胎児に必要な栄養に詳しい獣医師など専門家に食事相談を行って、適切なフードや量・与え方を確認してから選ぶのがお勧めです。
妊娠・授乳期は人間と同様、母犬の体調や食欲が変わりやすいデリケートな時期です。
ぜひ食事についてサポートを受けられる専門家をまずは探してみて、母犬と子犬に適切な栄養とエネルギーを与えられるフードを選んで与えるようにしてみてください。