ドッグフードの素材(大豆)
ドッグフードによく使われる小麦に並んで、植物性のタンパク質源や食物繊維源として昔からドッグフードに使われてきたのが大豆です。大豆は大豆そのままだけでなく加工した大豆製品や副産物もドッグフードによく使われており、具体的には以下のような種類がフード原材料に利用されています。
・大豆......
国産大豆にこだわったフードもありますが、大豆は日本での自給率が低く、輸入に多くを頼っているためペットフードにも輸入大豆や飼料用大豆などが多く使用されていると考えられます。
大豆の主要輸入先はアメリカで、次いでブラジルやカナダ、中国からも輸入されています。
・大豆ミール/脱脂大豆......
大豆から大豆油を搾油した後に残る搾りかすで、昔は飼料や肥料に使われることが多かった副産物ですが、脱脂大豆にはタンパク質が豊富に含まれているため人間用の食品にも利用されるようになりました。
醤油や豆腐、豆乳を始め、植物性タンパクとして様々な加工食品にも利用されています。
・乾燥おから......
豆腐を作る際に出てくる副産物であるおからを熱風で乾燥させたもので、乾燥させることで日持ちを良くしています。
国産のおからにこだわったフードもありますが、大豆同様、輸入原材料も多いと考えられます。
・大豆タンパク......
脱脂大豆を加熱・加圧・乾燥させたもので、大豆ミートやソイミートと呼ばれることがあります。
大豆タンパクはタンパク質含有量が多く、水を加えて加熱すると固まる性質があることからペットフードだけでなく人間用の加工食品にも広く利用されており、大豆タンパクは脂質が少ない植物性タンパク質であるためヘルシーな素材としても注目を集めています。
・大豆外皮......
脱脂大豆同様、大豆から大豆油を搾油する際に出る副産物ですが、大豆外皮は必ず発生する副産物ではないため、脱脂大豆よりも安定した調達が難しく、副産物ではありますがペットフードには使われることが少ない素材です。
・大豆油......
大豆からとれる油です。
リノール酸とオレイン酸が豊富で、リノール酸は脂肪酸中約5割を占めています。
その他、大豆の特徴は以下の通りです。
大豆に含まれる栄養について
大豆は植物の中ではタンパク質が多く、可食部中約3割をタンパク質が占めており、その中には必須アミノ酸であるトリプトファンを多く含んでいます。トリプトファンはセロトニン・メラトニンというホルモンの代謝に関わりがある必須アミノ酸で、これらのホルモンは神経を落ち着かせる働きがあることから、トリプトファンは健康維持に役立つアミノ酸として注目を集めています。
その他には炭水化物が約3割程度、脂質が約2割程度含まれています。
上記の通り、大豆は様々な加工品・副産物がペットフードに利用されており、どれを使用するかによって大豆から得られる栄養素が変わります。
例えば乾燥おからは食物繊維を多く含みますが、タンパク質は少なめです。
食物繊維には不溶性と水溶性の食物繊維がほぼ同量含まれています。
また脱脂大豆は搾油されているため脂質が少なく、その分タンパク質が多めで、大豆タンパクは文字通りタンパク質を多く含む原材料です。
イソフラボンはどこに含まれる?
大豆の成分の中で健康維持のためよく注目を集めるのが、女性ホルモンの様な働きをする大豆イソフラボンです。イソフラボンは大豆胚芽の中に多く含まれる成分で、人間用の食品では大豆をまるごと加工してあり水分含有量も少ないきな粉、製造工程でイソフラボンの消失が少ない納豆などに多く含まれています。
一方、熟成や発酵を行う味噌や醤油にはほとんど含まれていないことが知られています。
上記の通り、イソフラボンは大豆の製造方法によって含まれる量が変わってくるため、ドッグフードに大豆イソフラボンの効果を期待するなら、まるごと大豆を使用したフードを選ぶと良いかもしれません。
ちなみに大豆にはその他、ネガティブな要素として犬の鼓腸症に関わりが深いと指摘されることがあったり、また輸入大豆には遺伝子組み換え作物が含まれていたりする要素があります。
ドッグフードの場合、原材料にどのような大豆が使われているのか調べるのは容易なことではありませんが、中には大豆の産地や農薬の使用有無、遺伝子組み換え作物の使用有無まで記載してくれているドッグフードもあります。
また原材料欄のどの位置に大豆が記載されているかで、大豆の大まかな使用割合を推測することができます。
もしも上記のように大豆のネガティブな要素が気になる場合には、なるべく情報を多く公開してくれている、安心できる要素が多いメーカーのフードを選ぶのがお勧めです。