ドッグフードの素材(落花生)
落花生はドッグフードの原材料というよりも、犬用おやつの風味づけに落花生由来のピーナッツバターとして使われることが多い原材料です。ピーナッツバターは乾燥した落花生を炒ってから粗く砕き、すりつぶして練りこんだもので、成分中約半分はピーナッツに含まれる油分です。
その他、落花生およびピーナッツバターには以下のよう特徴があります。
ピーナッツバターについて
アメリカで主にピーナッツバターに使用されているのがランナー種と呼ばれる落花生です。ランナー種は他の種類の落花生に比べてオレイン酸の含有量が多く、酸化の進行が進みにくいことから、長期保存することが多いピーナッツバター用の品種として選ばれています。
日本ではピーナッツバターというと砂糖入りの甘いペーストというイメージですが、海外では砂糖を使用していない製品もあります。
ピーナッツバターの90%以上は落花生の成分で、その他には塩や油分の分離を防ぐ安定剤、甘味料などが使われることがあります。
またピーナッツバターそのものにはオメガ6系であるリノール酸も豊富に含まれています。
落花生に含まれるタンパク質について
落花生には可食部中約25%程度のタンパク質が含まれており、アミノ酸の中ではアルギニンが多いという特徴があります。アルギニンには免疫反応を活性化させたり、細胞増殖やコラーゲン生成を促進したりする働きがあるため、外傷時に補給が勧められることがある成分です。
一方で落花生に含まれるタンパク質には強いアレルゲン性を持つ、アルブミンと呼ばれるタンパク質が含まれていることがわかっています。
人間の場合、落花生は小麦についでアレルギーを持つ人が多く、また落花生にアレルギーを起こした場合、重篤な症状に陥りやすいことが知られています。
落花生やピーナッツバターはドッグフードに使われることが少ないため、犬のアレルギー食材として注意が向けられることはあまりありませんが、犬も同様の症状を起こす可能性があります。
落花生やピーナッツバターの入ったフードを与えた後、犬の体調に異変を感じるようであれば獣医師の診察を受けるようにしましょう。
落花生に含まれる栄養について
落花生にはビタミンやミネラルがバランス良く含まれており、海外では子どもの成長に必要な栄養素がバランス良く摂れることから、子ども用のサンドイッチにピーナッツバターがよく取り入れられています。ビタミンの中では抗酸化作用のあるビタミンEが多く、ミネラルの中ではマグネシウムが多いという特徴があります。
また、カルシウムや銅、亜鉛、マンガンなど骨の成長に欠かせないミネラルがバランス良く含まれています。
ただしピーナッツバターには食塩が使用されていることや、食事療法でミネラルの制限が必要な犬の場合には相性が良くない可能性があることから、とらせすぎには注意が必要な場合もあります。
犬は落花生の消化が苦手であり、また同じナッツ類のマカダミアナッツに中毒症状を起こす場合があることから、落花生は犬に与えてはいけない食べものとしてよく取り上げられています。
上記のように落花生には強いアレルギー反応を起こす可能性があることや、ピーナッツバターには油分や塩分が多いこと(場合によっては糖分も含む)、消化が悪いことなどのネガティブな要素もあります。
犬に与えて異常が見られるような場合には与えないようにして、速やかに獣医師の診察を受けるようにしましょう。