食いつきのいいドッグフードを選ぶ
犬が食べ物を選ぶうえで重要視しやすいのは匂い、食感、味の順で、特にフードの匂いは犬にとって重要な要素です。犬は人間よりも鋭敏な嗅覚を持っており、人間の約100万倍から1億倍の嗅覚能力があるといわれています。
そのため同じドッグフードでも工場や製造ロットが違うだけで、また原材料の購入先が変わるだけで食いつきが変わることがあるといわれ、犬の食いつきはフード選びでも重要な要素になってきます。
食いつきのいいドッグフードの特徴
犬の好きな匂いは獲物の血液や体液、肉などの匂いです。そのため動物性食材の香りが強いフードは、喜んで食べてくれます。
また犬は一度食べた美味しいフードの匂いはよく覚えており、それと似た匂いがするフードはよく食べてくれる傾向にあります。
人間は犬よりも嗅覚が劣るため、犬と同じようにフードをかぎわけるのは難しいですが、食いつきのいいフードを見つけたら香りを嗅いでみて、どのような香りかを覚えておくのがおすすめです。
フードを変える時にも、犬が好みやすいフードを選びやすくなります。
犬が好きな味は?
犬は味の中では甘みが大好きで、特にショ糖に反応する味蕾の数が最も多く、ショ糖にはよく反応すると言われています。またショ糖に反応する味蕾はシステイン、プロリン、リジン、ロイシンなどの甘いアミノ酸にも感受性が強いため、これらのアミノ酸が含まれた食事に犬は反応しやすいと考えられています。
甘いアミノ酸は新鮮な肉よりも、少し置いた熟成肉に多く、最近では一部のプレミアムフードでも熟成肉を使用していることがあります。
犬の食いつきが悪い時は、このようなフードを与えたり、トッピングに熟成肉を使用したりするのも良いでしょう。
食いつきが良くないドッグフードの特徴
一方で、逆に犬の食いつきが悪くなりやすい食べものもあります。犬が避けやすい嫌いな食べ物は強い酸味や苦味のある食べ物で、柑橘類や酢などは嫌う傾向があるようです。
またアミノ酸の中では苦味を持つトリプトファンが嫌われやすいと言われています。
トリプトファンは肉や乳製品に多く含まれていますが、肉や乳製品にはその他の犬が好みやすい成分が多く含まれているため、あまり心配はいりません。
ですが、アミノ酸としてトリプトファンを強化しているドッグフードを与える時は、食いつきをよく見てあげるとよいでしょう。
食いつきのいいフードと栄養
犬は同じタンパク質含有量のドッグフードなら植物性タンパク質よりも、肉や魚などの動物性タンパク質を多く含むフードの方を好みやすいといわれています。また一般的に好きな肉の順番は、牛肉>豚肉>羊肉>鶏肉>馬肉の順番だといわれており、脂溶性の香り成分が多く含まれている、脂質の多いフードを好みやすいそうです。
犬の学習とフードの食いつきについて
犬の食いつきはこれまで食べてきたものや、これまで学習してきた経験によっても変わることがあると言われています。例えば幼い頃から何でも口にしてきた犬は、成犬になっても新しい食べものを好みやすい傾向にあります。
一方で幼い頃から決まった食事しかしてこなかった犬は、成犬になった時に新しい食べものに警戒心を示すケースもあるようです。
また胃腸が悪い時に特徴的なフード(匂いが強い、他のフードより高タンパク質など)を与えると、「これを食べるとお腹が痛くなる(調子が悪くなる)」と覚えてしまうことがあり、口にしなくなることもあるようです。
逆に多頭飼いの家では「早く食べないととられる」と恐れるせいか、フードを食べる早さも食いつきも良くなる傾向があるようです。
犬の体調と食いつきについて
犬は体調が悪いと食いつきが悪くなることがあり、引っ越しや宿泊時など環境の変化やストレスが多いときには、食事の量が減ったり、いつもの慣れた食事しか口にしてくれなかったりすることがあります。また犬は鼻が乾いていると、匂いの粒子が鼻にくっつきにくくなるため嗅覚が鈍くなりやすく、匂いのいいフードでも反応してくれないことがあります。
鼻の渇きは体調が悪い時のサインでもあるため、犬の食いつきが悪くなったときはフードの見直しとともに、体調もしっかり観察してあげるようにしましょう。
また犬は開封から時間が経ち香りが変化したフードや、保管状態の悪いフードも食いつきが悪くなる場合があります。
そのため同じ種類のフードでも、新鮮な状態を保てる少量小分けパックのほうが食いつきが良くなるケースもあります。
犬の食いつきはさまざまな要因で変わってくるため、フードの香りや原材料、成分、現在の犬の体調、犬の嗜好、パッケージなど総合的に判断して犬が好みやすいフードを選んでみるようにしましょう。