ドッグフードの着色料(コチニール)
コチニール色素はコチニールカイガラムシからとれる天然色素で、赤色着色料として使用されることがあります。熱湯で殺した虫を天日干しにした黒色コチニール、あるいはそれを貯蔵した銀色コチニールを、水あるいはエタノールで抽出しコチニール色素が作られています。
合成着色料の有害性については消費者の間で度々問題となることがあり、天然由来の着色料が日本では好まれやすいことから、コチニール色素は合成着色料の代替品として使用されることが増えています。
コチニール色素の特徴
コチニール色素の主成分はカルミン酸で、数%程度の濃度で存在しています。コチニール色素は水溶性、耐熱性、耐光性に優れている特徴があり、退色促進作用を持つアスコルビン酸にも影響を受けにくいと言われています。
水、エタノール、プロピレングリコールには溶けますが油脂には溶けず、色調はpHによって変化し、酸性で赤に近く中性では赤紫色になり、アルカリ性では紫色へと変化します。
コチニール色素とビタミンBについて
コチニール色素を始めとした赤色着色料と水溶性ビタミンとの相互作用を調べた実験では、コチニール溶液中でナイアシンアミドの分解が著しかったことが確認されており、3週間後にはナイアシンアミドは完全に分解されたとされています。またこの実験ではコチニールはビタミンB1の分解も促進したそうです。
コチニールは比較的安定した物質だとされていますが、安定性が高い一部合成着色料と比べると不安定な性質もあり、これが何らかの形でビタミン分解に働いていると考えられています。
上記の結果がドッグフード中の成分結果に直接あらわれるかどうかは不明ですが、ナイアシンやビタミンB1を意識的にとらせたい場合には、念のため着色料を使用していないフードを選んだ方が良いでしょう。
コチニール色素とアレルギー
コチニール色素は人間で急性アレルギー(アナフィラキシーショック)を引き起こす恐れがある物質だとして注意が呼びかけられている色素です。犬でも同様の反応が起きるかどうかはわからないですが、念のため覚えておきたい内容と言えます。
犬と着色料について
コチニール色素は天然由来の添加物で、合成着色料よりも比較的安全と思われやすいですが上記の通り、フードのその他成分や犬の体調・体質と相性が合わない場合は犬の健康に対して影響を与える可能性も考えられます。犬に赤色着色料は意味がない?
犬は赤色に対して人間のように認識することができないため、赤色着色料はどちらかというとフードを購入する人間のために添加されていると考えられます。そのため赤色着色料は天然由来の着色料といえども、犬にとってはあまり有用性がなく、犬への有害性についてもはっきりとはわかっていないことから、なるべく避けるのが無難な添加物と言えます。
犬は好きな食べ物を選ぶ際には視覚よりも匂い、食感、味を重要視しやすいと言われています。
特定のフードしか食べてくれない場合でも、犬が好むトッピングを利用したり、相性のいいフードを探したりすることで改善することがあるため、なるべく日頃からフードの選択肢を増やす工夫をして、犬にとってより良いと思えるフードを探し、与えるようにしてみましょう。