ドッグフードの酸化防止剤(没食子酸プロピル)
没食子酸はさまざまな植物にタンニンの形で存在しているポリフェノールです。ドッグフードによく使用されている没食子酸プロピルは、没食子酸とプロピルアルコールとのエステル化反応で得られる添加物で、酸化防止剤として使用されています。
没食子酸プロピルは植物由来の酸化防止剤ではありますが、動物実験では急性毒性や変異原性が認められており、その安全性について危惧している消費者も多い添加物です。
犬については毒性がなかったという報告もありますが、人間では偽アレルギー症状をもたらしたという報告もあります。
植物油への抗酸化性が高い
没食子酸プロピルは、植物油に対して優れた抗酸化性を示す酸化防止剤です。酸化防止剤としてよく用いられるBHAはラードやオレイン酸などには抗酸化性を示すものの、植物油ではあまり抗酸化性が高くないことがわかっています。
そのため酸化防止剤の効力を総合的に高めるために、没食子酸プロピルはBHAとセットで使用されることがあります。
BHAと共に使用されることが多い酸化防止剤
酸化防止剤の効力を高めるため、合成酸化防止剤であるBHAとセットで使用されることの多い添加物には没食子酸プロピルのほかにBHTがあげられます。BHTはBHAとセットで利用することで抗酸化性が高まり、かつ長期保存時にも安定して抗酸化性を発揮します。
ただしBHTの抗酸化性はあまり高くないため、BHTではなくあえてBHAと没食子酸プロピルがセットで使用されていることがあります。
酸化防止剤は単独で使用するより、混合した方が効果が高い
酸化防止剤は単独で使用するよりも、他の酸化防止剤と混合した方が抗酸化性が高くなる傾向があります。酸化防止剤を摂取した場合の健康面の影響のことを考えると、酸化防止剤はなるべく種類が少ない方が望ましく思えますが、フードの酸化を防ぐという意味では単独の酸化防止剤を使用しているフードより、複数の酸化防止剤を使用しているフードの方が酸化防止効果が高いことがあります。
フードの酸化が進むとビタミンや脂肪酸などの酸化しやすい栄養素が失われ、保証されている栄養成分をフードから得られなくなることがあります。
また酸化するとフード自体の香りや色が変わることがあり、犬の食いつきが悪くなることがあり、犬の体調や体質によっては酸化防止剤の使用よりも、酸化による栄養素の消失や食いつきの悪さの方が問題になる場合があることも考えられます。
フードを選ぶ時は発がん性や毒性などが報告されていない、安心できる酸化防止剤を使用したものを選ぶのが一番ですが、時には食事療法などで添加物の使用有無よりも、他の要素(栄養成分や犬の食いつきなど)を優先しなければならないことがあります。
なるべくフードの選択肢を増やす意味でも、それぞれのフードに使用されている酸化防止剤の安全性がどの程度かについて調べてみたり、犬と相性がいいかどうか確かめたりしてみるのがおすすめです。