ドッグフードの保湿剤(プロピレングリコール)
プロピレングリコールはセミモイストタイプやソフトドライフード、犬用おやつなど、水分含有量の多いフードの保湿剤として使用される添加物です。無味無色の液体で水やアルコールなどにもよく溶けることから、食品だけでなく医薬品や化粧品の保湿剤、乳化剤としてもよく利用されています。
プロピレングリコールは猫への毒性が認められており、キャットフードには使用してはならない添加物として定められています。
ペットフード安全法では、犬への規制は特に定められていません。
水分活性と微生物について
セミモイストやソフトドライフードは水分含有量が多くてやわらかく、しっとりとした質感で、犬の食いつきが良いという特徴があります。ただし水分が多く含まれることから、そのままでは微生物が繁殖しやすく、保存するには様々な工夫が必要となります。
微生物の繁殖には自由水が必要
食品に含まれている水分には、タンパク質や炭水化物と結合した結合水と、自由に移動できる自由水という種類があります。微生物が食品で繁殖するには上記の内、自由水が必要とされ、自由水が少なければ少ないほど、微生物が繁殖するのを防ぎやすくなります。
食品から自由水を少なくする方法は乾燥させる方法と、砂糖や食塩など水分活性を調節してくれる材料を使って、自由水を結合水に変える方法があります。
ドライフードは前者の方法で微生物の繁殖を防いでおり、セミモイストやソフトドライなどの水分含有量が多いフードは後者の方法で微生物の繁殖を防いでいます。
プロピレングリコールは使用量が多い?
フードや犬用おやつにソフトでしっとりとした質感をもたせるには、プロピレングリコールを数%使用しなければならないと言われています。プロピレングリコールは犬に対しては毒性があまりないと考えられている成分で、プロピレングリコール5%の割合の飲料水を与えて5~9ヵ月飼育しても、障害は見られなかったという報告があります。
また食餌に8%濃度で加えて2年間飼育しても悪影響は観察されなかったという報告もあります。
猫は0.5%を超えると健康に対して悪影響があると言われており、上記のように数%フードに加えると悪影響を及ぼす可能性があるためプロピレングリコールを使用してはならないと定められています。
プロピレングリコールの一般的な毒性
プロピレングリコールの毒性は非常に高用量だった時のみにあらわれやすく、また毒性については猫以外では動物間での大きな差がないと言われています。プロピレングリコールの排泄
摂取したプロピレングリコールがどの程度排泄されるかは動物種によって異なり、人では約45%が腎臓を介して除去されるのに対し、犬では最大で88%除去されると言われています。プロピレングリコールは犬にとっては比較的安全性の高い添加物だと言われていますが、海外では使用量に制限を設けている場合があります。
またプロピレングリコールを使用するフードでは、砂糖、塩分、保存料やpH調整剤などの添加物を使用していることがあります。
犬の体質や体調によっては相性が合わない可能性を考え、フードと犬との相性はより注意を払って確認する必要があります。
フードの犬の食いつきを良くしたい場合は、トッピングを使用したり、より相性のいいフードを探したりすることで改善することがあるため、食いつきだけでフードを選ぶのではなく、総合的に見てより良いと思えるフードを選ぶようにしましょう。