ドッグフードの素材(鹿(ベニソン))
野生動物による農作物の被害が近年大きな社会問題となっており、駆除が求められる一方で、駆除した野生動物を有効活用するためにペットフードに鹿や猪などを利用する取り組みが全国的に進められています。中でも鹿を利用したドッグフードの数は急激に伸びを見せており、国産鹿肉を利用したフードも最近ではあまり珍しくなくなってきました。
ただし鹿などの野生動物の肉をペットフードに利用することを危惧する人も多く、特に野生動物の肉を生でペットに与えることについて警鐘を鳴らす獣医師などの専門家も数多くいます。
ジビエを生食することで特に心配なのがE型肝炎や有害微生物による食中毒です。
また猪の生食では寄生虫(ウェステルマン肺吸虫)による感染症の心配があります。
有害微生物は加熱することで死滅するものが多いため、野生動物を使用したドッグフードは中心部までしっかりと火を通してあるもの(ドライフードやウェットフードなど)を選ぶようにしましょう。
またジビエの取り扱いは国によって異なるため、海外のジビエやそれを利用したドッグフードがどのように衛生管理されているのか、前もって調べておくようにしましょう。
鹿肉を使ったドッグフードの特徴は以下の通りです。
国産品が多くを占めるドッグフード
上記のように鹿は、国内で駆除した鹿の有効活用が進められているため、他の畜肉を使用したフードに比べて国産品が多くを占めています。ただし国産品であれば安全かというとそうではありません。
一般的な食肉の解体・加工は法律による規制の元で行われていますが、鹿や猪など国産ジビエ肉の解体・加工は国レベルでの規制がかけられておらず、各自治体の定める基準の元で行われるようになっています。
そのためジビエ肉の安全確保に関して科学的な根拠が乏しかったり、また検証方法などが十分ではなかったり、さらに基準に違反した場合の罰則などが整っていなかったりすることがあるようです。
また鹿を使ってドッグフードを作る場合、生肉であってもドライフード、ウェットフードであってもペットフード安全法の規制対象になり、ペットフード安全法が定める基準や規格を守る必要がありますが、中にはそれが十分に理解されないままドッグフードが作られている例もあるようです。
ジビエを使用したドッグフードを購入する場合、上記のようにリスクを事前にチェックする体制が十分に整っていないことがあるため、中までしっかり加熱されてあるドライフードやウェットフードを選ぶか、もしくはペットフード安全法の規格・基準に則って適正なフードを製造している業者のフードを選ぶようにするのがお勧めです。
ジビエを介した感染症は犬の健康だけでなく、家族の健康を脅かすことがあるため必ず前もって確認しておきたい内容です。